アロマ初心者が絶対に覚えておくべき精油の注意事項

最近、アロマを日常に取り入れる方が

男女問わず増えて、とてもうれしいのですが、

誤った使い方、根拠のない情報を鵜呑みにして

危険な使い方をしている方が多く見受けられます。


アロマを安全に利用し、せっかくの素晴らしい

効果を最大限に感じていただければと思います。

ここでは、簡単にアロマテラピーを使用するうえでの注意事項をご紹介します。


精油を安全に用いるための注意事項

1. 火気に注意 

2. 原液を直接肌に塗ったり、飲用しない、 点眼しない

3. 子どもやペットの手の届かないところに保存する

4. 妊婦や子供への利用法には注意する

5. 保管方法、使用期限に注意

6. 偽物に注意!!



本当に大切なことなので、長くなってしまいますが一つ一つみていきましょう。



1. 火気に注意 

精油は油脂ではありませんが、揮発性のある物質です。

そのため、「引火の可能性がある」とみなされています。

お家で使う時、写真のようなキャンドル式のアロマポットで香りを芳香させる場合、精油の量や空焚き、風のある場所で使用するのも気を付けてくださいね。



2. 原液を直接肌に塗ったり、飲用しない、 点眼しない

精油(エッセンシャルオイル)ってなあに?

の記事でも説明をしましたが、

精油(エッセンシャルオイル)は、

植物の中から高濃度に抽出した、

有効成分を含む化学物質が数十~数百種類

集まってできた有機化合物なんです。


植物から抽出した物質は、

微量でも、とても強い作用をもつことがあります。

西洋医学のお薬も、毒になるという話がありますが、

精油も同様で、使い方や量を間違えると命にかかわるのと同じ仕組みです。

有効成分が「高濃度」に含まれている

ということを念頭に置いてください。



〇原液を直接肌に塗布しない

正式には「アロマトリートメント」と言いますが、

お仕事帰りや海外旅行に行って、

アロマを使ったマッサージなどを受けられたことがあるかと思います。


でも、それらに利用されているのは、

あの小瓶に入っている精油を原液で使っているんではないんですね。


通常、この「アロマトリートメント」に使うオイルは、

植物油に1%以下の精油を混ぜて、希釈してから利用します。


1%以下というのは、例えば50mlのオイルを

マッサージに利用するとした場合、

そこに精油は10滴以下しか使えません。


しかも、1%というのは、MAXなので、

それ以下に薄めた方が安全な精油もあります。


なぜ精油を直接皮膚に塗ってはいけないのか。


「経皮毒性」という言葉を聞いたことはありますか?


「経皮毒」という言葉は、

科学的根拠に乏しいと言われ賛否両論ありますが、

最近、界面活性剤などは「経皮毒」の

影響があるとのことで、できるだけナチュラルな

シャンプーを使われる方が増えてきていますよね。


「経皮毒性」は、皮膚の表面から吸収された成分が、

体内に血液にのって循環して、脳や神経組織、

様々な臓器に毒性のある物質が蓄積されてしまうのです。


この記事の「1.火気に注意!」でお伝えしましたが、

精油は、アブラではありません。

しかし、「親油性」があります。

水に浮いたりアブラに馴染みやすかったりと、とてもアブラににたモノなんです


本来、皮膚は危険なものが、体の中に

吸収されないようにバリア機能を持っています。

お風呂に入っても、水が皮膚から

体の中に吸収されないのは、そのお陰です。


でも、空気中に浮遊する細かい環境毒素や、

日用品に含まれる石油系の化学物質、

天然の精油なども分子が細かく、

親油性の性質を持っているので、

皮膚から体の中に入って、

血液にのって体のあちこちに巡っていきます。


本来、アロマテラピーを利用したマッサージは、

この親油性の性質を利用して、

体に良い成分を全身に巡らせることが

目的の1つなのですが、

毒性のある成分や、本来体によい成分でも

利用量が過多になってしまうと、

体内で処理しきれなかったり、

親油性がゆえに、組織と馴染むと

外に排出されなくなってしまうんです。


利用方法や量については、

本当に注意をお願いします。


また、目に見える現象なので

経験されたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、


皮膚炎などの「皮膚刺激」

過剰な免疫反応である「皮膚感作」

日光などの強い紫外線と反応し炎症や色素沈着を引き起こす「光毒性」


があります。


薄めたものですら影響の可能性があるのに、

原液で皮膚に塗布するなんて、

本当に危険なことです。


「オーガニックだから安全」、

「メディカルグレードだから安全」ということを

いう方に時々お会いすることがありますが、

どんな精油でも、利用法や希釈量に

気をつけなければ、危険を伴うのはどんな精油でも同じです。


植物学や解剖生理学をきちんと学んでいれば、

それは、安全な利用法や、希釈量を守った上での

ことであることは、分かっているはず。


希釈していない精油原液を

きちんとした理由を説明できないのに、

容易に「直接つけられる」などとおっしゃる方から精油を購入するのは、偽物(何かで希釈している、成分を除去しているもの)であるため避けてくださいね。



〇原液を飲用しない 〇点眼しない

皮膚からでも危険なものが、口から入るとどのくらい危険かお分かりになるでしょう。


何度もお伝えしますが、

精油は高濃度に抽出した化学物質が

数十~数百種類集まってできた有機化合物です。

「高濃度」なんです!!


どのくらい高濃度かというと、

植物に含まれている時よりも70~100倍に濃縮されています。


ラベンダーは1kgの精油を抽出するのに、

100~200kgのラベンダーが必要です。

バラは1kg抽出するのに、

3,000~5,000kgの花びらが必要になります。

ピンときますか?


日常料理に使うものを例にしてみます。


ガーリックやターメリック(ウコン)、

ブラックペッパーなどの精油もあり、

普段、こういう植物を料理で香りづけや

臭み消し、味のスパイスなどに少し使います。


でも、これは濃縮されたものではなく、

植物そのものをスライスしたり粉にしたものですよね。


つまり、有効成分以外の食物繊維や

水分やいろいろ入った状態のものです。

料理に使う植物に含まれる有効成分は、

精油1滴にも満たないくらいの量です。


そんな状態のものでも、とても刺激が強く、

大量に食べると胃が痛くなったり、

例えば、ウコンは量を間違えると

肝機能に重大な問題を起こすことで有名です。


たかだか精油2、3滴であろうと、

一体どれだけ大量のガーリックやウコン、

ブラックペッパーの成分を

濃縮したものになるでしょうか?

それを考えるととても怖いですよね。


微量でも刺激が強いもの、毒性のあるものが、

高濃度で体に入り、臓器内で処理しきれなかったり、

細胞に入り込んでしまったりします。


直接口の中や消化器を通るため、「粘膜刺激」もあります。

眼薬代わりに入れるなんて、もってのほかです!!

もちろん、市販のお菓子や目薬に香りづけや、

有効成分の効果を狙って精油が含まれているものは

たくさんありますが、それはすごい希釈率で希釈されているものを含んでいます。


フランスやベルギー、ドイツでは医療として利用され、

飲用も認められていると言われていますが、

精油の飲用については必ず処方がされています。


日本では、医師の処方はされませんので、

植物のパワーを口から感じたい時は、ハーブや生のフルーツを使いましょう!!



3. 子どもやペットの手の届かないところに保存する

原液を飲んでしまったら大変なので、

手の届かないところに置きましょう!!

体の小さい赤ちゃんやペットには、要注意です。


特に、猫を飼っているご家庭では

アロマの利用をおすすめしません。

猫は、肝臓の解毒機能が人や犬とは違い、

植物成分を分解するのが苦手です。

間違ってなめてしまうのはもちろん、

芳香浴でも死亡事例があります。


ティートリーでの事例が顕著です。


どうしても利用されたい方は、

ペットアロマの専門家に相談されることをおすすめしますよ。




4. 妊婦や子供への利用法には注意する

妊婦さんでも、心地よいと思えるものは

芳香浴に取り入れて良いのですが、

病気の時にニオイがきつく感じるのと同じように、

妊娠中は感受性も高まっていますので注意が必要です。


また、子宮を刺激するようなものは妊娠初期、

中期・後期で使っても良い精油、

悪い精油は変わってきます。


「アロマトリートメント」に利用する場合も、

肌が敏感になっていたり、

赤ちゃんの母乳への影響も考え、

低濃度で行うことをおススメします。


子供に関しては、体が小さいこと、

抵抗力を持っていない事などを考慮して

公益社団法人アロマ環境協会では、以下のように定めています。


・3歳未満の幼児

 室内の芳香浴として使用する以外、使用しないようにする。

・3歳以上のこども

 成人への使用量の10分の1程度から始め、多くても2分の1程度までを限度とするのが望ましく、十分に注意を払う。

(公益社団法人アロマ環境協会)


アロマは正しく使えば、子供の集中力アップや、ポテンシャルアップに貢献してくれますので、必ず利用方法を守りましょう!!




5. 保管方法、使用期限に注意

精油は、100%天然から抽出されたもので、

保存料など何も加えられていないものです。

(精油自体が保存料になる植物もある。)

当然、私たちが普段利用しているものに

含まれている防腐剤や安定剤なども含まれていません。


ゆえに、使用期限、開封後の利用期限は短いです。

特に柑橘類などは、劣化が早いので

3か月程度で使えなくなってしまいます。

これが天然の悲しいところです。


密封方法や瓶の種類などでメーカーによって

変わってきますので、

購入するときにお店の人に聞いてみてくださいね。


気候、光、熱、空気により劣化が進みます。

必ずしっかり蓋を閉めて、

濃い色の遮光ビンに入っている状態で保管して下さい。

そうそう、だから精油の瓶はこげ茶や紺色なんですね。


古くなってしまうと、ニオイも変わってきますので、

その時は清くサヨナラしてくださいね。



6. 偽物に注意!!

100均に置いておあるものは、

さすがに偽物だと分かると思います。


購入するのに安心なのは、専門店です。

実店舗があるお店としては、

東京では「生活の木」、「ニールズヤード」、

「カリス成城」などが有名どころかと思います。


ネットでも購入できますが、植物は野菜と

同じで摂れた土地や気象条件などで変わってきます。

野菜で言えば味、精油で言えば香りが顕著に

変わってきますので、実際に嗅いでみて

自分に合った香りかどうかを確かめて購入されることをおススメします。


同じメーカーのモノでも、気象条件や作った畑、

作った時期によって毎回変わります。

合成香料と違い、生ものですから同じ香りを

安定して作るという事はできないのです。

特に、オーガニックであればあるほどです。


今年買ったものと3年後に買ったものが

同じ香りだというのはあり得ないのです。

もし、完全に同じ香りだった場合は、

それは合成香料かもしれませんね。


以前、どうしてもローズマリーの気に

入った香りがなくて、ネット販売も含め

5軒のメーカーをはしごしましたが、

結局その年は気に入ったローズマリーの

香りを手に入れることが出来ませんでした。

そんなこともあります。


偽物の見分け方としては、

裏の表記に精油(エッセンシャルオイル)以外に、

植物油であったり、エタノールであったり、

人工的な化学物質など何か含まれているものは偽物です。


精油とは、100%天然のもので、

かつ何らかの成分を加えられたり、

除去したり、手を加えられていないもののことをいいます。


何かを除去した場合、

例えば、「原液を直接肌に塗布しない」のところで

日光などの強い紫外線と反応し炎症や色素沈着を

引き起こす「光毒性」について紹介しましたが、

「光毒性」を引き起こす「ベルガプテン」

という成分を抜いて販売されているものは、

必ず「ベルガプテンフリー」という表記があり、

それを抜いた精油ですということで認められています。


なので、何かを加えたものは精油ではありませんし、

何かを除去して大きく成分が変化しているものも精油ではありません。


例えば、

アルコールや合成香料、添加物が入ったものは

「フレグランスオイル」や「ポプリオイル」と呼び、

ジュースやガム、お菓子などの香りづけのために、

口にいれても大丈夫なように成分を

抜いているものを「フレーバー」と呼びます。


精油とは、区別してくださいね。

さて、かなり長い記事になってしまいましたが、お許しください!!


アロマテラピーは正しく使えば

あなたをハッピーにしてくれますが、

誤った使い方をするととても危険なことがお分かりになったかと思います。



口に入れて良いように作ってあるフレーバーですら、

材料に対してかなりの低濃度で使います。


「超オーガニックだから。メディカルグレード

だから原液で飲んだり、つけたりしても大丈夫」

ということを言われる方がいらっしゃいますが、

今回の記事を読んでいただけた方は、

どんなものでも使い方を間違ったら

危険が伴うという事をご理解いただけたかと思います。


そして、何か成分を抜いてそれを表記

していない場合、全く違う成分にしてしまった場合は、

それは「精油」と呼べないということもわかりましたよね。


植物学をきちんと学んだ人であれば、

植物には忌避作用といって菌や虫を

さけるための物質が備わっていることを知っています。


実際、ティートリーなどの抗菌効果のある

精油を部屋に芳香させると、菌がほとんど

なくなったというデータもありますので、

人間にとってはありがたい精油の機能ですが、

菌にとっては脅威ですよね。

猫ちゃんの死亡例も多数でています。


フランスやベルギーなどでの飲用は、

あくまでも医師の処方があってのこと。

素人が知識もなく原液を飲んだり、

塗布してもでも大丈夫なものは、

何らかの混ぜ物か、危険成分を抜いたものかです。


原液を飲んでも大丈夫、塗布しても

大丈夫ということを言われた場合は、

どういう仕組みでそうなっているのかの

納得できる説明を聞いてからにしましょう。


植物は動物と違って、動くことができないので、

身を守る為にそのような作用を持っているのです。

トマトやナスの葉っぱが食べられないのもそういう仕組みですよね。


ということで、精油を利用するときは、


1. 火気に注意

2. 原液を直接肌に塗ったり、飲用しない、 点眼しない

3. 子どもやペットの手の届かないところに保存する

4. 妊婦や子供への利用法には注意する

5. 保管方法、使用期限に注意

6. 偽物に注意!!



などの注意点を守って、楽しく、安全にご利用くださいね。